Pharma 4.0 の背景と導入のベネフィット
背景
- ドイツで提唱された Industry 4.0 は、高度なコンピュータや情報通信技術を用いて、スマートファクトリー(システムや機器がネットワークで有機的に接続された工場)を構築するためのコンセプトです。
- このコンセプトは、既に様々な産業において実装され、生産性向上やコスト削減等の成果を上げています。
- 一方で、高度に規制された製薬産業においては、Industry 4.0 の導入は、他産業と比較して大きく遅れていました。 このため、製薬産業における Industry 4.0 の適用を促進するため、Pharma 4.0 という取り組みが、欧米で活発に行われ始め、現在では、我が国においても、これを実現するためのプラットフォームが整いつつあります。
導入のベネフィット
- Pharma 4.0の導入により、製造プロセス機器からリアルタイムで、時系列のプロセスデータや、バッチ記録のようなデータの集合体等、多用かつ膨大なデータを容易に収集可能となります。
- 同様のシステムを有する国内外の研究所、製造拠点、或いはCMO等の外部企業とリアルタイムでの情報共有が可能となります。
- 得られた膨大なデータを活用すること、即ち、ビッグデータを解析することにより、生産プロセスの効率化、製造パラメータ最適化、設備の予防保全等を実現できます。
- 更に、蓄積されたデータや解析結果をナレッジ化とすることで、様々な効果が期待できます。
医薬品製造に関わるシステム構成とデータ交換
システム構成とインターフェイス
- 医薬品工場におけるシステム構成の例を下図に示します。
- Pharma 4.0 の導入を前提としたシステム構成において、従来と最も異なる点は、生産機器等の制御システムと上位システムとの間を産業用イーサネットで接続する点です。
- これにより生産機器は、上位システムや情報ネットワークに容易に接続することが可能となります。
OPC-UA(OPC Unified Architecture)によるデータ交換
- Pharma 4.0 において、各構成システム間のインターフェイスは、マルチベンダー間や異なるOS間のデータ交換を可能とするOPC-UAが標準として採用されています。
- OPC-UAの採用により、様々な通信プロトコルが乱立し、これまで困難であった、生産設備とERPやMES等の上位システムとの連携が極めて容易になります。
Pharma 4.0 導入に関わる当社のサービス
計画支援
- システムスコープの設定
将来の全体システム構成を見据えた上で、顧客の要望に応じた適切なシステムスコープを設定します。 また、この際、段階的に適用領域を拡張しながら、成長できるシステム化のロードマップを提案します。 - システム構成の提案
製薬工場エンジニアリングを通じて得た、生産設備への深い知見に基づき、個別生産機器の選定も含め、最適なシステム構成が提案可能です。 - Pharma 4.0 ソリューションの実装支援
様々な Pharma 4.0 ソリューションを評価の上、最適な構成を提案します。 - 収集対象データの設定と定義
製造プロセスの機能モデリング手法を用いて、製造プロセスを明確に定義するとともに、収集すべきデータ項目を特定します。 - 業務プロセスの見える化による現状の把握と改善
業務をフローチャートのより見えるかし、現状の問題点を把握し、システム導入を踏まえた新業務フローを顧客と共に構築します。 - システム基本計画の実施
上記のアクティビティによる成果を取り纏めて、システム基本計画書を作成します。
システム導入支援
- 導入するシステムに関わるハードウエア、ソフトウエアに選定支援を行います。
- システム導入に関わる各種リスクアセスメントを行います。
- 医薬品工場のシステムとして必要な、コンピュータ化システムバリデーション(CSV)の計画、実施の支援を行います。
- システムの計画段階から、データインテグリティを保証できるシステム構築の支援を行います。
- サプライヤが作成する設計図書やCSV図書のレビュー、また、サプライヤへの指導や助言を行います。